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むかしむかし

294 :無名武将@お腹せっぷく:2008/01/15(火) 19:54:47
『学徒は無能だが昏君ではない。』誰もが抱いていた認識は、
彼が張春華を娶って以来、瞬く間に音を立てて崩れていった。

「学徒陛下!…民草は明日の食を得ることすらままならず、餓死者の数は計り知れませぬ!」
「どうか税を減らしてくださいますよう、切に嘆願申し上げます!」

血の涙を流して叩頭する朝倉渦中を前にしても、
学徒は恍惚とした表情で隣に侍る張春華の顔を眺めてばかりいる。
呆けた学徒に代わって、口を開いたのは張春華であった。

「ふふ…おばかさんねえ…米や麦がないのなら、お肉を食べればいいじゃなぁい?」

現状をわきまえない発言に憤った渦中は学徒に向かい、さらに一喝する。

「…この朝倉渦中、失望いたしましたぞ! 数ある忠臣を顧みず、」
「女狐張春華と贅の限りを尽くし、お家の財も食いつぶすばかりか民草から搾取するとは!」
「昔の陛下はどこに行かれたのか! 目を覚ましてくだされ!」

これには学徒も堪えたと見えて、後悔の念を顔に浮かべるが、いかんせん張春華が一枚上手であった。
彼女はそのガラスのような目に涙を浮かべ、声を震わせて学徒に泣きついた。

「ひどいわ…女狐だなんて…ああっ、私がいけないのね! 私の過去がいけないのね!」
「私がむかし…あんな恐ろしいことをしたから…全部…私が…」

学徒は美しい泣き顔に惹きつけられたのも束の間、憤怒の形相すさまじく朝倉に向き合うと

「てめえ…春華を侮辱するのは俺を侮辱するのと同じだろうが! 死ね、死んでしまえ、ボケ!」

「ああ、新党朝も終わった。」小さなため息とともに諦めを受け入れ、朝倉渦中は獄に繋がれた。

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